キッチンリフォームを検討している方は、内容やお住まいの地域によっては補助金制度を利用してお得にリフォームできるかもしれません。リフォーム費用は決して安いものではないため、お得な制度があるのであればぜひ活用したいものです。
では、2023年現在利用できるリフォーム補助金・助成金にはどのような制度があるのでしょうか?また、どれくらいお得になるのでしょうか?今回は、キッチンリフォームで利用できる補助金・助成金制度の内容と、利用時の注意点を見ていきましょう。
【2023年最新】キッチンリフォームで使える補助金・助成金制度
2023年現在、キッチンをリフォームする際に利用できる補助金・助成金制度は4つです。
・介護保険制度 | |
・自治体の補助金・助成金制度 | |
・国の補助金・助成金制度 |
- 何のために?
- どのようなキッチンリフォームを行うのか?
によって、利用できる制度は変わってきます。
たとえば、
- 体の不自由な家族やご高齢の家族が自宅で安全に暮らせるように
- キッチンに手すりを設置したり段差を解消したり等のリフォームを行う場合
「介護保険制度」を利用することで費用の一部が補助される可能性があります。
また、
- 家事を行ないながら子どもを見守れるような子育て環境を整えるために
- 壁付けキッチンから対面キッチンへの変更リフォームを行う場合
「こどもエコすまい支援事業」や「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を利用することで費用の一部が補助される場合があります。
このように、キッチンリフォームの補助金・助成金制度は誰でもどのようなリフォームにも適用されるわけではなく、一定の条件が設けられています。国や自治体が実現したい目的に沿ったリフォーム工事のみに、補助金・助成金が給付されるしくみです。そこで、次章からはそれぞれの制度の条件や金額などについて詳しくご紹介していきます。
1. 介護保険における住宅改修制度
「介護保険制度」は国の制度ではありますが、のちほどご紹介する「国の補助金・助成金制度」とは違い期間限定の制度ではないため、ここでは分けて詳細を見ていきたいと思います。
「介護保険制度」のなかのリフォームに関する制度が「介護保険における住宅改修制度」です。「介護保険における住宅改修制度」は、介護を必要とする人にとって危険な場所をなくして安全な自宅環境を整えること、介護する側の利便性を向上させること、の2つを目的として設けられています。
これらの目的を国が達成するために、支給条件や対象となるリフォーム工事の内容は以下のように設定されています。
支給条件
■利用者が介護保険に加入していること
■利用者が要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受けていること ■利用者が介護保険被保険者証に記載されている住宅に居住していること ■利用者が入院、福祉施設等に入居していないこと |
「介護保険における住宅改修制度」を利用するためには、これらすべての条件を満たす必要があります。また、制度を利用できるのは転居した場合などを除き、原則1人1回までとなっています。
対象となるリフォーム工事
リフォーム工事内容 | ⑴ 手すりの設置
⑵ 段差の解消 ⑶ 滑りにくい床材への変更等、床に関するリフォーム ⑷ 開けやすい扉への交換 ⑸ 和式トイレから洋式トイレへの交換 ⑹ その他住宅改修に付帯する住宅改修 |
補助金額
支給補助金額 | 対象工事費用(上限20万円)の7~9割(最高18万円)
※利用者の所得(介護保険自己負担割)に応じる |
補助金の支給対象となる工事費用は上限20万円ですので、その9割の18万円が最高支給額ということになります。制度の利用回数は原則利用者1人1回までですが、工事費が上限20万円の範囲内であれば複数回に分割することも可能です。たとえば、手すりの設置リフォーム費用が5万円で済んだのであれば、次に15万円の扉変更リフォームを行う際にも制度を利用できるということです。
申請方法
1. リフォームについてケアマネジャー等に相談
2. 事前申請書類を市区町村へ提出 3. キッチンリフォーム工事着工 4. キッチンリフォーム工事完了 5. 住宅改修費の支給申請・決定 6. 補助金の償還払い |
「介護保険における住宅改修制度」の申請は基本的にケアマネージャーを通して申請することになっています。そのため、まずは担当のケアマネージャーに相談しましょう。もし担当のケアマネジャーがいない場合や、まだ要支援・要介護認定を受けていないという方は、お住まいの地域の包括支援センターにご相談ください。
補助金の支給は工事完了後に払い戻してもらう「償還払い」方式が採用されています。そのため、キッチンリフォームにかかる総費用は一旦リフォーム会社にお支払いする必要があります。補助金との差額分ではなくリフォーム費用総額分を予算としてあらかじめ確保しておくように注意しましょう。
現在の募集状況
「介護保険における住宅改修制度」は期間限定の制度ではないため、通年申請を受け付けています。詳細を知りたい方は、お住まいの自治体の福祉課等にお問い合わせください。
参考
2. 地方公共団体における住宅リフォーム支援制度
自治体の制度は、その条件や補助金額などさまざまです。お住まいの自治体に相談したり、こちらにて対象となる制度があるか検索したりして情報収集してみてください。
3. こどもエコすまい支援事業
「こどもエコすまい支援事業」は2023年にはじまった新しい制度です。制度名に「こども」と入っていることから分かるように、18歳未満の子供がいる子育て世帯やどちらかが40歳未満の若者夫婦世帯に手厚い補助金制度となっています。
2022年には「こどもみらい住宅支援事業」という似たような内容の制度が実施されていましたが、「こどもエコすまい支援事業」は補助金の対象となる住宅に、より高度な省エネ性能が求められるようになったという点で大きく異なります。
そのため「こどもみらい住宅支援事業」を利用するためには、お住まいの住宅の省エネ性能を高めることを目的としたリフォーム工事を伴うことが必須となっています。
支給条件
■リフォーム工事着工が、令和4年11月8日以降であること
■リフォーム工事の完了が、工事請負契約後かつ令和5年12月31日までであること ■住宅の所有者が発注者であること ■本制度が支援している事業者と工事請負契約等を締結しリフォームを行なうこと ■5万円以上のリフォーム工事を行うこと ■以下の必須リフォーム工事を行うこと |
対象となるリフォーム工事
必須リフォーム工事内容 | ⑴ 開口部の断熱改修
⑵ 外壁、屋根・天井または床の断熱改修 ⑶ エコ住宅設備の設置 |
任意リフォーム工事内容 | ⑷ 子育て対応改修
⑸ 防災性向上改修 ⑹ バリアフリー改修 ⑺ 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 ⑻ リフォーム瑕疵保険等への加入 |
住宅の省エネ性能を高めるためのリフォーム内容⑴〜⑶のいずれかに加え、⑷〜⑻に該当するキッチンリフォームを行うことで、補助金の対象となります。
⑷の中でキッチンリフォームに該当する対象工事は、「家事負担の軽減に資する設備を設置する工事」と「キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事」の2つです。ビルトイン食器洗機や掃除しやすいレンジフードを新たに設置したり、壁付けキッチンから対面キッチンにレイアウト変更したりすることで、補助金の対象となることがあります。
また、⑹の中でキッチンリフォームに該当する対象工事は、「手すりの設置工事」や「段差の解消工事」になります。キッチンに安全確保のための手すりを設置したり、転倒防止のためにキッチンの段差をフラットにしたりすることで、補助金の対象となることがあります。
それぞれの工事内容の詳細はこちらからご確認ください。
補助金額
子育て世帯または
若者夫婦世帯の補助金額 |
既存住宅を購入しリフォームする場合:5〜60万円
居住する住宅でリフォームを行う場合:5〜45万円 |
その他の世帯の補助金額 | 安心R住宅を購入しリフォームを行う場合:5〜45万
上記以外のリフォームを行う場合:5〜30万円 |
支給額はリフォーム工事の内容によって大きく異なってきます。5万円以上のリフォーム工事でないと支給対象となりませんのでご注意ください。
申請方法
1. 施工会社の事業者登録
2. 工事請負契約の締結 3. 共同事業実施規約の締結 4. キッチンリフォーム工事着工 5. キッチンリフォーム工事完了 6. 補助金交付申請 7. 補助金交付決定 8. 補助金の請求 9. 完了実績報告 10. 補助金の振込 |
「こどもエコすまい支援事業」の申請は、リフォーム工事の施工会社しか行うことができません。工事の発注者である読者のみなさんが行えるものではないため、リフォームを依頼する施工会社が「こどもエコすまい支援事業」に事業者登録を行っているのか、申請をスムーズに行ってくれるのかを確認してから契約するようにしましょう。
また、補助金交付の申請はリフォーム工事完了後に施工会社が行います。この申請が申請期限内に間に合うように、余裕を持ってリフォーム計画を立てるようにしましょう。
現在の募集状況
申請受付期間 | 2023年3月31日~2023年12月31日
※予算に達し次第終了 |
「こどもエコすまい支援事業」の補助金支給は、予算上限に達し次第募集終了となります。従来予算の上限は1,500億円でしたが、2023年7月28日に「こどもエコすまい支援事業」の予算を209億3,500万円増額し、1,709億3,500万円とすることが発表されました。
この増額に伴い、2023年7月31日時点での予算に対する補助金申請額の割合(概算値)は、75%となっています。この概算値は毎日更新されますので、最新の募集状況はこちらをご確認ください。
4. 長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、高性能な住宅や子育てのしやすい住宅を整備するために国が行っている補助金制度です。安全で長持ちする住宅を増やしていくことが目的ですので、劣化対策・耐震性向上・省エネ対策のためのリフォームを行うことが支給のためには必須となっています。
支給条件
■インスペクションを実施すること
■リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと ■リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること ■以下の必須リフォーム工事を行うこと ■若者:2023年4月1日時点で40歳未満であること※ ■子育て世帯:2023年4月1日または交付申請日時点に18歳未満の子どもがいること※ |
なお、以下の⑹子育て世帯向け改修工事の補助金を受けるためには、※いずれかの支給条件を満たす必要があります。
対象となるリフォーム工事
必須リフォーム工事内容
|
⑴ 劣化対策
⑵ 耐震性 ⑶ 省エネルギー対策 |
任意リフォーム工事内容 | ⑷ 性能向上工事
⑸ 三世代同居対応改修工事 ⑹ 子育て世帯向け改修工事 ⑺ 防災性・レジリエンス性の向上改修工事 |
⑴〜⑶のいずれかのリフォーム工事に加えて、⑸と⑹に該当するキッチンリフォームを行うことで、キッチンリフォームも補助金支給の対象となります。
⑸三世代同居対応改修工事としては、「キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設」が補助金支給の対象リフォームとなっており、工事完了後にいずれか2つ以上が複数箇所に設置されている必要があります。
たとえば、キッチン1つ・浴室1つ・トイレ1つ・玄関1つの住宅を増設リフォームして、キッチン2つ・浴室1つ・トイレ2つ・玄関1つの三世代同居住宅にした場合は補助金が支給されます。ただし、キッチンを改築リフォームするだけでは支給対象とはならないため注意しましょう。
⑹子育て世帯向け改修工事としては、「子どもの様子の見守り」「親子がふれあえる空間づくり」「家事負担の軽減」と定義されているリフォームが補助金支給の対象となります。
たとえば、子どもの様子を見守るために壁付けキッチンから対面キッチンへレイアウト変更するキッチンリフォーム、親子がふれあえる空間づくりのためにキッチンの広さを確保するキッチンリフォームなどは、支給対象のリフォームとなります。
補助金額
補助金額 | ⑴ 評価基準型:100万円(150万円)
⑵ 認定長期優良住宅型:200万円(250万円) ※リフォーム後の住宅の評価基準に応じて決定 ※()内の金額は工事内容が「⑸三世代同居対応改修工事」「⑹子育て世帯向け改修工事」に当てはまる場合のみ |
評価基準型とは、一定の耐震性や耐久性、省エネ性を確保するリフォーム内容を基準としたものです。劣化部分の改修や壁の断熱リフォームなど、部分的なリフォームをイメージするとわかりやすいと思います。
一方、認定長期優良住宅型は、評価基準型よりも高い耐震性や耐久性、省エネ性を確保するためのリフォーム内容が基準となっています。住宅全体をフルリフォームして全体の性能を高める工事がイメージしやすいでしょう。
また、リフォーム工事費以外に事前インスペクションなどにかかる費用に対しても一部補助金がおります。
申請方法
1. 施工会社の事業者登録
2. 契約・インスペクション等 3. 住宅登録 4. キッチンリフォーム工事着工 5. 補助金交付申請 6. 補助金交付決定 7. キッチンリフォーム工事完了・引渡し 8. 完了実績報告 9. 補助金の額の確定 10. 補助金の振込 |
「こどもエコすまい支援事業」と同じく「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金の申請もリフォーム施工会社が行います。そのため、事業者登録をしておりスムーズに手続きを行ってくれる会社にリフォームを依頼するようにしましょう。
現在の募集状況
受付期間 | 通年申請タイプ:2023年5月8日~2023年12月22日
事前採択タイプ:2023年7月中旬~2023年12月22日 ※予算に達し次第終了 |
通年申請タイプの「評価基準型」は2023年5月18日に予算上限に達したため募集終了となりました。また、事前採択タイプも2023年5月26日をもって募集を終了しています。
そのため、現在募集をしているのは通年申請タイプの「認定長期優良住宅型」のみになります。こちらは2023年7月31日時点で、21%の執行状況という状況です。募集状況の最新情報はこちらをご確認ください。
キッチンリフォームの補助金を利用する際の注意点
最新情報を公式サイトでチェックする
今回ご紹介した補助金・助成金制度のうち「介護保険における住宅改修制度」以外の3つは、募集期間が定められており予算の上限も設定されているものがほとんどです。すでに2023年に入ってから募集が終了している制度もたくさんあり、「つい先日まで募集していたのに、急に募集が終了になっている...」という可能性も。
もらえるはずだったお金が情報収集不足によりもらえなくなるというのは勿体無いですよね。近々キッチンリフォームすることがすでに決まっているのであれば、ここまでにご紹介してきた公式サイトにて最新情報を確認しながら、できるだけ早く手続きを進めたいものです。
リフォーム会社に契約前に相談する
キッチンリフォームに利用できる補助金・助成金制度は、リフォーム施工会社が着工前に申請する必要があるものが多いです。また、「こどもエコすまい支援事業」と「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の申請手続きをするためには、そもそもリフォーム施工会社が事業者登録を行っている必要があります。
そのため、リフォーム施工会社と工事の請負契約を締結する前に補助金の利用を考えている旨を伝え、事業者登録は行っている会社なのか、申請手続きは行ってくれるのかなどを確認するようにしましょう。
契約後に事業者登録を行っても給付の対象外となりますので注意してください。
キッチンリフォームに利用できる補助金を利用しよう!
今回は、キッチンリフォームに利用できる補助金・助成金制度についてご紹介してきました。
「介護保険における住宅改修制度」「地方公共団体における住宅リフォーム支援制度」
「こどもエコすまい支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の4つが、リフォームの内容によっては補助金給付の対象となる制度になります。
それぞれ給付条件が細かく定められているため、自分が検討しているリフォーム内容が給付の対象となるのかホームページでチェックしてみてください。キッチンリフォームだけでは支給対象とならなくても、そのほかの住宅のリフォームと合わせて行うことで支給対象となることもあります。
また、それぞれの制度には基本的に申請期限が定められています。期限を過ぎたり期限内に予算上限に達してしまったりすると、その時点で募集は締め切られてしまいます。キッチンリフォームをすることが確実に決まっているのであれば、申請の枠が残っているうちにリフォーム施工会社に早めに相談することをおすすめします。
リフォーム施工会社を探す際には、「こどもエコすまい支援事業」と「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の事業者登録を行っている会社なのか、申請手続きをスムーズに対応してくれる会社なのか確認してから契約するよう注意してください。